民族時報 第1150号(08.12.15)


【論説】生活苦、南北緊張、公安弾圧/野党と社会市民団体が共闘へ

    民主守護に向けた各界各層の動き

 「経済大統領」にかけた国民の期待は水泡に帰し、生活苦のうえに李明博政権の公安弾圧によって、国民の苦痛は加重されている。 そのうえ順調だった南北関係を悪化させ、南北鉄道の運行が中断し、開城と金剛山観光の中断、開城工業団地に常駐する人員の削減措置などによって、南北関係は十年前の対決時代に回帰してしまう危機に直面している。

 南北関係と民生の悪化、民主主義の危機が一挙に押し寄せている、まさに総体的な危機状況が現在の韓国社会の特徴といえる。

 こうしたなかで民主守護の動きが力強くわき起こっている。李政権の時代錯誤的な対北対決政策をこれ以上、手をこまねいていられないからだ。民主党の丁世均、民主労働党の姜基甲、創造韓国党の文国現氏ら野党の代表らは十一月三十日、「南北関係の危機打開のための非常対策会議」を開き、現状を非常政局と規定して、李政権の対北政策の全面修正を要求して共同対応することにした。

 3野党が李政権に対する民主戦線を形成

 三野党は対北対決政策の全面転換の必要性を強調し、李政権に対して@六・一五共同宣言と十・四宣言の実践と履行意志を明確にすることA「非核・開放・三〇〇〇」政策の廃棄と和解・協力政策への転換B保守団体の反北ビラ散布問題に大統領が乗り出して解決することC開城工業団地、金剛山観光、南北鉄道運行の再開など、三大経済協力事業に積極的に努力すること――などを促した。三党はまた、@政権交替にともなう対北政策の変更を防ぐための「南北関係発展基本法の改正」A保守団体の反北ビラ散布を防止するための「南北交流協力法の改正」「南北協力基金法の改正」などの立法活動を協調することにした。これらを実現するために、国際連帯活動と国内の社会市民団体との連帯活動などで、一大民主戦線を形成するとの方針を明らかにした。

 一方、金大中元大統領は十一月二十七日、ピョンヤンを訪問した民主労働党の姜代表との懇談の席で、李政権に対抗するために三野党と市民社会団体の広範囲な民主大連合を構築する必要性を主張し、野党と進歩勢力に活気を与えている。三野党の共闘決議も、この発言に力づけられたことが大きいといえる。金元大統領は「李政権が南北関係を意図的に破たんさせようとしているが、成功しないだろう」「『非核・開放・三〇〇〇』は過去六年で失敗し破たんしたブッシュ政権の政策と同じものだ」と述べ、対北政策の転換を促した。また「国民はその時代の独裁政権を挫折させてきたし、必ず勝利してきた」として、民主勢力を励ます一方で、李政権を独裁政権だと規定した。

 民主党の丁代表は民主労総と韓国労総の指導部に会うなど、市民団体との連帯を積極的に模索している。

 全野党と市民社会団体が政権の経済政策に共同対応

 民生民主国民会議と市民社会団体連席会議など約五百団体と民主党、民主労働党、創造韓国党、進歩新党、社会党など全野党陣営は四日、「経済・民生危機の克服のための諸政党・市民社会団体・各界人士連席会議」を開いて李明博政権のごく少数の富裕層と財閥大企業のための経済政策に反対し、共同対応していくことにした。野党と市民社会団体が共同で李政権に対抗する連帯枠を形成した意味は非常に大きい。まずは経済問題への共同対応から始めるが、来年四月に行われる国会議員の再・補欠選挙と二〇一〇年の地方選挙を照準に「選挙連合」を展望する動きもあり、連帯の範囲が広がるものとして期待が大きい。

 李政権が南北関係を破たんさせていることについては、保守勢力からも政策の再検討を要求する声が高まっている。純福音教会牧師らプロテスタント系の宗教者の百三人は、李政権が北朝鮮の内部変化を目標にした対決政策よりも経済協力と平和体制定着など、柔軟で包括的な接近を推進するよう要求している。

 現在、李政権とハンナラ党は国家情報院(国情院)の職務範囲を拡大する国家情報院法の改定を推進中で、国情院は「スパイ保安・司法捜査強化」方針を明らかにしており、最高検察庁は人権弾圧で悪名をはせ、金大中、盧武鉉政権時代に廃止された公安三課を来年三月に復活させようとしており、法務部は公安関連予算を今年の二十九億ウォンから来年には三十八億ウォンに増額することにした。李政権は、国民の南北関係の改善要求にもかかわらず、これを無視して、かえって関係を悪化させる一方、進歩勢力に対する弾圧に拍車を加える態勢にある。

 しかし、来年初には北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との関係正常化に積極的な政策を展開することを明らかにしている米国のオバマ新政権の発足とともに、朝米関係が急進展することが予想される。そうなると李政権は、南北関係はもちろん、国際社会でも孤立を深めることになるだろう。米議会調査局のラリーニクシ博士は十一月二十四日、「オバマ新政権は、発足後ただちにピョンヤンに米国利益代表部を設置することを考慮している」と発言したことは、注目すべきことだ。

 李政権の南北対決政策と公安弾圧にもかかわらず、情勢は民主勢力に有利な方向に進んでいるといえるだろう。

 (金明姫記者)


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