民族時報 第1172号(09.12.01)


【トップ記事】韓統連の幹部らに正式旅券の発給拒否

      東京新聞が報道 韓国当局が自由往来妨害

 長年にわたる民主化と統一のための活動が盧武鉉政権下で正しく評価され、実質的な名誉回復を果たして、故国への自由往来権を保障する正式パスポートが発給されていた韓統連の幹部と会員、会員団体のメンバーに対して、李明博政権が今年に入って、自由往来を妨害するさまざまな行為をしている。これについて、東京新聞は十一月十八日付朝刊の国際面のトップに、外報部・辻渕智之記者の署名入りで「韓国当局 在日団体を警戒」「政権交代で保守派の圧力=vとの見出しをつけて詳しく報道し、大きな反響を呼んでいる。=関連する主張は別掲

 同記事は、十月に当局の脅迫によって北側オリニ(子ども)栄養パン工場事業本部の在日同胞歴史紀行が延期されたことについて、「『入国時には取り調べることになる』。訪韓直前の韓統連の会員数人に十月、韓国公館から電話があった。名古屋と大阪の韓国総領事館は『本国からの指示』と告げたという」と、経過を明らかにした。

 また、孫亨根議長らへの不当な押収捜索について、「国家情報院(情報機関)への出頭要求書が空港で手渡された。『国家保安法違反容疑と関連して事情を聴きたい』との内容だった。以前訪問した北朝鮮での行動に不審を持たれ、手帳や書類、カメラのメモリーカードも押収された」と報道した。

 当局の韓統連会員らへの嫌がらせは、これ以外にも、旅券発給の条件に韓統連からの脱退を強要したり、夫が韓統連の幹部であることを理由に十年の有効期限を三年に制限したりした事実が明らかになっている。

 こうした不当な弾圧について韓国大使館の当局者は、「韓国の最高裁の判断を根拠に『韓統連は国家保安法上の捜査対象の組織』との立場に変化はない」とし、「近年、韓統連会員への旅券発給を始め、入国時に取り調べもしなかった経緯については『当時の政治的判断』」だと、独裁政権時代の主張をくり返し、前政権の統治行為の継続性を否定する返答をしたことを伝えている。

 同記事では識者の声として静岡県立大の小針進教授が、「保守派の李明博大統領が誕生して一年経過し、韓国の権力が左派から右派へ完全移行した結果だ」との分析を伝え、金大中、盧武鉉政権のもとで冷遇されてきた公安勢力が保守政権のもとで「職業意識に目覚め、彼らの目にはザル法と化していた国家保安法を厳格に適用しようと動き始めたのではないか」との推測を伝えた。

 記事は末尾で、「私たちは名誉回復の途上にあった。この民主化の流れに李政権は逆行する」との韓統連の主張を伝え、「反国家団体」の扱いは「軍政下で事実がねじ曲げられている」と強調して、「現政権の冷戦思考は、民族の和解を阻んでいる」と明らかにしたことを報道している。実際、一九七八年の韓国最高裁による「反国家団体」判示は、在日同胞留学生に対するスパイ事件に関連して、具体的根拠も示すことなく唐突に行われた、きわめて政治的なものだった。また、当該の事件は真実・和解のための過去事整理委員会で、でっちあげ事件だったと認定されている。

 一方記事は、大使館側が「違法の事実がなければ、韓国に来て(当局に)自分たちの行動を説明し、堂々と往来してほしい」と求めたとしている。しかし実情は、最近旅券申請した郭東儀最高顧問と文世賢・韓青中央委員長に対して領事が「一回限りの旅券を発給するので、ソウルの外交通商部で正式旅券を取得せよ」と通告してきた。これについて、韓国内の弁護士は、「一回限りの旅券とは、国家情報院へ直行する旅券だ」と指摘。実質的な旅券発給拒否、自由往来権のはく脱だと明らかにした。


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