民族時報 第1197号(11.02.01)


【焦点】残り6人の審理開始を

元在日政治犯、再審無罪判決相次ぐ



 七〇―八〇年代に韓国軍事独裁政権によって「北のスパイ」にでっち上げられ、獄中生活を強いられた元在日韓国人政治犯が提訴したやり直し裁判(再審)で無罪判決が続いている。

 無罪判決をかち取ったのは、京都市在住の李宗樹(五十一歳、一〇年七月十五日に無罪判決)、奈良市在住の尹正憲(五十七歳、一一年一月十日に同判決)、神戸市在住の李憲治(五十八歳、同年一月十三日に同判決)の三氏。

 李宗樹氏はソウル留学中の八二年に国家保安法違反容疑で連行された。拷問を加えられ、虚偽の陳述書を書かされた。懲役十年の刑が確定し、八八年に特赦で仮釈放された。李氏は昨年八月、「在日韓国人良心囚の名誉回復を求める会」を立ち上げ、「最初に無罪判決を得た自分が、同じ苦しみを味わった人たちのためにできることをしたい」と抱負を語った。

 尹氏はソウル留学中の八四年に連行され、同法違反で有罪判決を受け、約四年間獄中生活を送った。再審判決は、令状なしで四十五日間も不法に拘束され、拷問などによって虚偽の自白に追い込まれたことを認めた。無罪判決に、尹氏は「主張が認められ感無量だ。再審開始決定を待つ人もおり、支援活動にもさらに力を入れたい」と語った。

 韓国企業で働いていた李憲治氏は八一年に連行された。無期懲役刑を宣告され、九六年に仮釈放されるまで、十五年近く獄中生活を強いられた。無罪判決後、李氏は「やっと肩の荷が少しおりた」と語り、韓国政府に対し、再審を求めている在日韓国人ら六人への早急な審理開始などを強く求めた。

 国内の事件でも、全斗煥軍事政権時代の学林事件、八三年に朝鮮総連から指令を受けたとされたスパイ事件、統一革命党事件と関連づけた六八年の南朝鮮解放戦略党事件、五八年の進歩党事件などの被害者が最近、再審で無罪判決を受けている。

 すべてのケースが、〇六年に韓国政府が軍事政権時代の人権侵害を調査するために設置した独立機関「真実・和解のための過去事整理委員会」の救済勧告にそって再審が行われたものだ。過去の誤った歴史を見直すために、盧武鉉政権時に設置された同委員会はこのように多くの成果を生み出したが、李明博政権以後は保守的で消極的な動向が顕著になり、活動内容が憂慮されていた。

同委員会は本来の使命を完全に果たしきれないまま、昨年末に活動を終えた。しかし、韓統連の完全な名誉回復も含めて、歴史の見直しのための努力は続けられなければならない。


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