民族時報 第1215号(11.12.01)


【読書案内】自主、解放へ鼓動伝わる

    金政夫著『歴史の意志を実践する』

 

 本書は「東湖記念研究所所長の著者が、「東湖先生の『愛国論』第三章の「歴史の意志を実践する」という言葉を「導きの糸」として韓統連、特に韓青の若居人たちに向けて発信した文章を集めたものだ。

 本書の主要部分は、本書の副題が「唯物弁証法と民族主義で読む『愛国論』の世界」と付されたことからわかるように、「活動の方法論の前提となる、最も本質的な、最も基本的な『ものごとの見方・考え方』を養うことを目的として」、二〇〇九年六月から一〇年八月まで八回にわたって発刊された『研究所通信』だ。「情勢について」「歴史について」「民族について」「宗教について」「民族的に生きる」という問題設定をしての論考、論文「『併合一〇〇年』と韓青結成五〇周年」、講演「韓青結成五〇周年の意義」とエッセイ「家族へ、仲間たちへ――還暦からのメッセージ――」を内容としている。

 本書には、これに加えて二〇〇五年九月に脳梗塞(こうそく)で倒れた著者の快気報告と、書き下ろしの「発刊にあたって」と「あとがき」が付されている。

 本書がユニークなのは、〈人間とは何か〉という根源的な問いと、それに対する答えをもって、歴史と情勢、民族と民衆の解放の問題へと切り込むところだ。同時に、人間―労働者という抽象的な規定・方法を、具体的な〈民族自主〉の課題として明確に提起していることにある。

 そして、本書を味わい深くしているのは、随所にちりばめられている在日二世としての記憶――「卑怯(きょう)で、卑屈」でさえあった少年期、青年期の物語と、それを、いまをつなぐ理論と実践の熱情だ。

 同胞はもちろん、日本のみなさんにも、本書を手に取ってもらえたらと願う。自らと、隣国、日本に生きる他民族への理解、自主と解放への熱い心臓の鼓動が伝わるはずだ。

(発行・「東湖記念研究所、発売・民族時報社、頒価1000円+送料)


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